都留文科大学キャンパス周辺の鳥類相とその変化
西 教生(都留文科大学大学院)
はじめに
 都留文科大学(以下、大学)の周囲にはスギCryptomeria japonicaやヒノキChamaecyparis obtusa、アカマツPinus densifloraなどの針葉樹、ケヤキZelkova serrataやアブラチャンParabenzoin praecox、コナラQuercus serrataなどの落葉広葉樹が樹林として広がっている。その中心部は窪んだ谷のような地形で、全体から見ると扇状地のようである。窪地の北側に大学があり、南側や西側には人家およびアパートが密集している(写真11におけるa地点、写真2b地点)。スギやヒノキは樹齢50年程で樹高は15m前後のものが多い。アブラチャンは樹高3m程で、多くは株立ちしている(写真3c地点、写真4d地点)。

写真1

写真2

写真3

写真4

 これまで、大学キャンパス(以下、キャンパス)の鳥類に関する報告は全くない。しかし、キャンパス周辺を大学のフィールドとして捉え活かしていこうとするなら、こうした基礎調査は欠かせない。筆者は20031月から200610月までキャンパス周辺に生息する鳥類、および繁殖確認の調査を行った。本稿では、これまでの調査で生息および繁殖の確認された鳥類と鳥類相の特徴について報告し、310ヶ月の間に個体数や分布域に変化のあった種について、その原因および課題について考察することが目的である。また、本稿のようなある地域の鳥類相を明らかにする報文の重要性についても論じたい。生息地の変化や人間活動などが鳥類に及ばす影響は分布域の拡大や縮小、個体数の増減などに現れるため、今後も鳥類相とその変化を記録していきたいと考えている。そして、大きく変化していく人間と自然の関係を時々刻々と捉えていきたい。
調査方法

 1の調査範囲内におけるキャンパス周辺を調査した。調査は20031月から200610月まで行った。早朝から昼までを基本としたラインセンサスを月34回行い、出現した全ての鳥類を記録した。ラインセンサスの範囲は特に定めなかった。なるべく多くの鳥類を確認できるように、調査時間外でも鳥類の発見につとめ、随時記録した。夜行性の鳥類も確認できるように、昼間の調査と並行して夜間調査も月3回程度行った。夜間調査は1ヶ所30分程度の定点観察を、調査範囲内の必要と思われる場所で行った。繁殖期には巣の発見につとめた。これらの調査には8倍の双眼鏡を使用した。

結果および考察

 キャンパス周辺で生息が確認された鳥類は3179種だった(1)。都留市内では123種が確認されており(西 2006)、今回の調査ではその内の64%が記録されたことになる。西(2006)の調査では確認されなかったヒメアマツバメApus affinis、コマドリErithacus akahigeが観察された。ヒメアマツバメの出現状況については後述する。コマドリは2006414日の早朝、1におけるe地点でさえずりが聞かれた。その後の調査では確認できなかったため、通過して行ったものと思われた。表1にはそれぞれの種の区分および繁殖確認、出現率を示した。2は夏鳥および冬鳥、旅鳥などの出現時期を示したものである。この図を基に後年にこれらの種の出現状況を比較し、変化を研究するための基礎資料としたい。

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