やまなしの野鳥たち 
2017.12 アリスイ
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 アリスイは、北海道や東北地方北部で夏鳥として繁殖するキツツキの仲間で、個体数は多くありません。冬季は本州中部以西に移動して越冬し、本県でも冬鳥として見られますがまれです。

 繁殖は林の周辺や草地などで行い、秋冬には開けた林や林縁、草原、湿地などに生息します。地上近くの枝や岩の上、地上などで多く見られ、樹上では枝に対して水平に止まります。

 全長は17~18㎝、スズメ程の大きさです。全体が灰褐色で、赤茶色や黒茶色の複雑なまだら模様が入りウロコのように見えます。頭央から背にかけては黒く太いラインがあり、頭の側面や肩にも黒いまだら模様が入っています。喉から胸にかけては黄褐色の羽毛で覆われ黒褐色の横縞が入ります。


 キツツキの仲間は、ほとんどが木の幹に縦に取り付いて採餌しますが、アリスイは、幹だけではなく地上にも降りて歩いて地表や地中の餌を採るのが特徴です。

 食性は動物食で、主にアリを食べるので和名の由来になっています。舌はアリを捕食するのに特化して、長さ10㎝と体の大きさに対して舌が最も長い鳥です。地表や朽ち木に止まってアリの巣に長い舌を直接入れて絡めとります。このほか、蛾やクモ、コガネムシのような甲虫類も捕食します。

  また、他のキツツキは巣穴は自分で掘り営巣、育雛しますが、アリスイは自分で巣を作らず、樹洞や他のキツツキが使った巣を利用したり、人間の作った巣箱も使うようです。

 繁殖期には、クイクイクイと甲高い大きな声でさえずり、この鳴き声はモズの高鳴きに似ています。

 つぶらな瞳で可愛い顔をしていますが、警戒のために頻繁に首をかしげる仕草や、親が巣を守る際にヘビのように首をくねくねさせて相手を追い払う行動が人に気味悪がられ、「不吉の象徴」とも呼ばれています。これはヘビの擬態であるとも言われており、捕食者に対する防衛行動だと考えられます。
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