やまなしの野鳥たち 
2021.3 ヒクイナ
やまなしの野鳥たちトップ もどる つぎへ


 ヒクイナは、夏鳥として全国の水田や湿地、河川の水辺の草むらなどで繁殖するクイナ科の鳥ですが、九州や沖縄では越冬しているので留鳥ということになります。

 湿地の開発など全国的な生息環境の悪化により、数十年前から各地でヒクイナの生息数は大幅に減少しました。ところが近年、四国、中国、近畿、東海から関東地方へと冬期の生息が確認されるようになってきました。越冬分布がだいぶ拡大している傾向にあるのです。そして本年は、甲府市内と市川三郷町の河川でも越冬が確認されました。2014年2月にも甲府市で確認されています。県内での繁殖が全く確認されていない状況なので、このままいくと山梨でのヒクイナは冬鳥というようになるかもしれません。

 古くから歌に詠まれ、「戸をたたく、くいなの声」として知られています。これは、繁殖期の夕方から夜にかけて、ゆっくりした調子でコッコッコッと鳴き出し、途中からコ、コ、コ・・・と続けてだんだん小声になって終わるヒクイナ独特の鳴き声が「戸をたたく」と例えられたものです。

 クイナの語源は、鳴き声の「コッ、コ」ッを「くひ、くひ」と聴いて、「鳴く」の語根「な」が加わって「くひな」となったという説があります。

 全長は23㎝ほどで、生息環境の似ている近縁種のクイナの29㎝と比べて小柄です。顔から喉、胸、腹など下面が赤褐色、頭から背、翼の上面は暗い緑褐色で、下腹と下尾筒には白と黒の横斑があります。足は赤く、太くしっかりしていて指も長いので、泥地や湿地も脚をとられることなく自由に歩き回れます。

 食性は動物食傾向の強い雑食で、昆虫、軟体動物、カエル、種子などを食べます。

 歩く時は両足を交互に動かして、首を前へ伸ばすようにして体を低め、しっぽを常にピクピクとさせています。

 警戒心が非常に強く、危険を感知するとすぐに草むらに逃げ込んでしまいます。

やまなしの野鳥たちトップ もどる つぎへ
inserted by FC2 system